根本 利通(ねもととしみち)
イスラムの断食月(ラマダン)が今月(11月6日ころから)始まる。ムスリムはその前に結婚式を挙げるカップルも多い。暑い時期の断食は、特に肉体労働が主体の人には大変で、断食後の2回の食事(フタリとダク)を滋養よく摂らないといけないから、食事に普段より工夫することになり、使われるキャッサバなどの値段が上がることになる。 従って低所得者にはつらいものがある。また12月にはクリスマスもあるから、ムスリム、クリスチャンにも物入りの時期となり、泥棒が増える時期でもある。
8月25日~9月4日に行われたSensa(国勢調査)の結果発表は速報値もまだ出ていないのだが、補足情報を伝えたい。8月に一般に行われた調査項目の詳細である。私自身は在留外国人であるため、、調査項目も少なかったが、一般のタンザニア人がそんなに少ない調査であれだけ大騒ぎをしたとは思えないので訊いてみたら、やはりかなり膨大な調査項目であった。
以下にまとめた表が調査項目の一覧である。
>大項目質問小項目選択肢登録州県郡調査地区世帯全員1番号2氏名3世帯主との関係妻夫子親孫親戚他人4性別5年齢6身体健常ハンセン病盲目聾唖アルビノ7国籍8婚姻未婚既婚同棲離別別居死別9両親の生存10出生地11現住所122001年の居住地教育13言語スワヒリ語英語2言語その他文盲14学校就学修了退学未就学15学歴小1~8中1~4高1~2大雇用16過去12ヶ月17過去7日間常勤非常勤有給無給家事求職中学生18種別雇用主従業員農業自営農業以外の自営家事実習生その他19過去7日間の職業管理職専門家技師事務商業従業員露天商職人農業漁業牧畜工員運転手雑業その他20産業農業牧畜漁業鉱業電気水道ガス製造業建設食料品販売その他の商業金融運送教育サービス政府その他女性21同居する実子数22別居する実子数23死別した実子数24過去12ヶ月に出産した実子数死亡25過去12ヶ月の死亡26死亡数27性別28死亡年齢家屋29屋根トタン瓦コンクリートアスベスト草葺草泥其の他30壁セメントブロック日干し煉瓦焼き煉瓦材木泥草その他31床セメント泥材木煉瓦その他32寝室数33調理用燃料電気灯油ガス薪炭その他なし34照明用燃料電気カラバイろうそく薪ランタン太陽キバタリ35飲料水水道井戸泉川池湖36便所水洗穴なしその他37家具ラジオ電話自転車トローリ鍬アイロン電気
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かなり膨大な質問項目だとは言える。これを全部ちゃんと質問して記録したのだろうか?1世帯の人口は平均で7~8人、10人を超えるところは少なくないし、自宅への「滞在命令」が出ていなかったから、不在者も多かっただろうし、繰り返し訪問したとしても無駄足になる確率は結構高い。不在時訪問票があり、何日の何時に再訪するというメモは残したようだが…。 調査員は小学校の先生を中心に、学生などある程度以上の教育を受けた人々が担当したが、彼らが記入したマークシートをそのままコンピューターに投入したわけだろうから、調査員の粘り強さと使命感が要請されたと思われる。
教育・雇用の項目は5歳以上が対象になっている。また女性についての質問はは12歳以上と指定されている。教育に関しては回答の選択肢は実に20に渡っており、中学校に入学したけど1年生未了というのも区別されている。小卒後の専門学校と中卒後の専門学校も区別されている。17番目の過去7日間の雇用についても常勤非常勤がそれぞれ有給無給に分けられ、さらに自営、求職中、無職で求職もしていないというのも区別されている。
家庭内にかなり踏み入った調査項目も注目される。調理用、照明用の燃料の州別の統計が発表されれば、州毎の「近代化率」が見えてくるかもしれない。ダルエスサラーム、アルーシャ、キリマンジャロ州が突出するのだろうか?また家具の所有の程度も興味深い。ただし、果たしてどの程度正確な記録・統計になるのか?タンザニア人らしく、統計の信憑性を疑わせる資料(お上に正直に言っていいことがあるか!という精神)と、集計時の操作が働くのかどうかも興味深い。
何はともあれ、速報値の発表が待たれるところである。
(2002年11月1日)
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